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研究計画書は、研究者のアイデアとその実行の分岐点に立つものです。それは単なる前段階ではなく、研究者の理解力の深さ、研究テーマの重要性、新規性、そして実現可能性を示す設計図です。例えば、「○○は××である」という仮説を検証する研究において、稚拙な研究計画書では、目的を簡潔に述べ、大まかな分析方法を記すだけかもしれません。対照的に、綿密に練られた研究計画書では、既存の文献を引用し、「○○は××である」という仮説を調査する重要性を強調し、研究テーマの新規性を示すリサーチギャップを明確に特定し、それを基盤にした目的や仮説を示し、具体的なデータ収集やデータ分析の方法を示すでしょう。後者は、研究計画書がアイデアから研究実施に至る可能性を高めます。
研究計画書は、あなたが研究したいことについて明確に示す構造化された文書です。例えるなら、建築家が超高層ビルを建設する前に、設計図を作成するようなものです。それと同じように、研究者は自分の意図する研究を実施する前に、研究計画書を作成します。例えば、「□□と△△は関連する」という仮説を詳細に検証することを目的とする研究者は、先行研究のレビュー、リサーチギャップの特定、目的と仮説 対象となるサンプルの特性とサンプリング方法、データ収集とデータ分析の方法、倫理的配慮、スケジュールなどについて詳述した研究計画書を作成します。
本記事の目的は、研究計画書の書き方のコツを解説することです。初心者であれベテランであれ、研究者が最も説得力があり、明確で、実行可能な方法でアイデアを提示できるよう、構造化された書き方のコツを提供します。研究計画書を作成するうえで、次の2つの役割を理解することは極めて重要です。それは、研究計画書は第三者から研究実施に係る許可を得るためのコミュニケーションツールであると同時に、内省的なツールでもあるという点です。研究計画書は、指導教員、共同研究者、倫理審査委員会、研究資金提供の審査委員などから研究実施の許可を得るために書きます。また、研究計画書の執筆は、研究者に研究の「理由」と「方法」について深く考えさせるものであり、実際の研究が始まる前であっても、より洗練されたものにするプロセスを促進します。本記事は、この2つの役割を果たせる研究計画書の書き方のコツを解説することを目的としています。
なお、研究論文の書き方に興味がある人は、以下から研究論文の書き方入門ガイド(無料)をお読みください。
実際に研究計画書を書く前に、いくつか事前に考慮すべきことがあります。ここでは3つにしぼって解説します。
まずは、研究計画書の想定される主な評価者を理解することが重要です。評価者には、それぞれ異なる関心や期待があります。例えば、「□□と△△は関連する」という仮説を検証する研究に資金を提供する機関は、□□や△△がどれだけ社会的に重要で、実際の現場での適用可能性があるかに関心を持つでしょう。一方、大学院の研究計画発表会に参加する教員陣は、研究テーマの理論的な背景、重要性や新規性、既存の研究への貢献、方法論の堅牢性などに重点を置くかもしれません。研究計画書を書くときは、想定される評価者の関心や期待を読み解いておく必要があります。
また、研究計画書の方法論に関連する報告ガイドラインや執筆要綱を確認する必要があります。例えば、質的研究を行うならばSRQR(Standards for reporting qualitative research)やCOREQ(consolidated criteria for reporting qualitative research)などの報告ガイドライン の確認が不可欠です。また、研究計画書の提出先で定めるルールを確認します。それは、研究計画書の長さ、構成、重点分野、あるいは書式の詳細まで指示するかもしれません。いずれにしてもそれらに従うことで、研究計画書が期待や要件に沿ったものになります。
さらに、研究計画書を書く前に関連する先行研究を調べておく必要があります。研究は、新規性と既存の知識への貢献が重要です。先行研究の調査では、研究者が自分の研究テーマと既存の研究が重複しておらず、リサーチギャップ を埋めるものになるかを確認します。また、研究テーマをより広い文脈の中に位置づけ、研究がその分野の発展に貢献できる可能性があるかどうかを確認します。例えば、「□□と△△は関連する」という仮説に関する研究が多数存在する場合、新たな研究テーマは、これまでの研究とどのように異なるのか、どのような新しい視点や方法を取り入れるのか、そしてリサーチギャップを埋めることによってどのような貢献を行えるのか、を明確にする必要があります。これにより、研究計画書はより精緻なものになり、研究者の独自の貢献を明確に示すことができます。
研究計画書にはいくつか欠かせない要素があります。本記事では、タイトル、要旨、序論、方法、研究倫理、期待される結果、スケジュール、予算、文献に焦点を当てます。
タイトルは、評価者(審査者、指導教員など)が研究計画書の最初に目にする要素であることが多く、極めて重要な要素です。タイトルを作成するときは、明確さや簡潔さを意識するとよいです。
明確なタイトルは、研究計画書の内容の簡潔な要約として機能し、研究の核心を端的に伝えてくれます。例えば、作業療法における新しい評価ツールの効果を調査する場合、「作業療法の新しい評価」というタイトルはあいまいすぎです。一方、「精神障害者を対象にした作業との結びつき評価の開発と尺度特性の検討」というタイトルは、研究の焦点が明確に示されています。タイトルは研究の本質を明確に要約し、評価者が一目で主な研究テーマが予測できるようにする必要があります。
また、タイトルは明確であることが最も重要ですが、簡潔であることも重要です。長すぎたり、あいまいすぎたりするタイトルは、たとえ評価者がその分野の専門家であっても、混乱したり、誤解したりする可能性があります。例えば、身体障害における作業に根ざした評価尺度を開発している場合、「作業療法士による脳血管障害や脊髄損傷等の身体障害をもつクライエントのための作業遂行分析が可能な観察で行うタイプの評価尺度の開発と尺度特性の検証」は長すぎますし、「作業療法評価とはなにか」はあいまい過ぎます。タイトルは明確であると同時に簡潔である必要があります。
研究計画書のタイトル作成は、研究の核心を凝縮し、明確かつ簡潔で、研究テーマを代表するものにする必要があります。よく練られたタイトルは、評価者が研究計画書に興味をもって読み、深く掘り下げるよう促します。
要旨は、研究計画書全体の「スナップショット」の役割を果たし、評価者に簡潔な概要を提供します。特に多くの研究計画書を読む審査委員会などの場合、要旨だけが熟読される可能性があり、その正確さと明瞭さが非常に重要になります。また、抄録には、研究の主要な目的と意義を明確に記載します。これは、研究上の疑問や仮説を最も本質的な形に抽出することを含みます。さらに、研究の「何を」(目的)だけでなく、「どのように」(方法論)も極めて重要です。方法論を簡単に説明することで、評価者は研究のアプローチや採用するツールやテクニックを知ることができます。ただし、要旨ではこのセクションを簡潔にし、最も重要なポイントに焦点を当てることが不可欠です。
効果的な要旨の作成はかなり難易度が高いです。研究計画書のエッセンスを抽出し、主要な目的と方法を簡潔かつ確実に提示することが求められます。よく練られた要旨は、研究の明確なスナップショットを提供し、審査者などの評価者に研究計画書のエッセンスの理解をもたらします。
序論は、評価者(審査員や指導教員など)があなたの研究テーマを理解するうえで重要であり、説得力のある序論を作成する必要があります。序論ではまず、あなたの研究をより大きな背景の中に位置づけて、研究テーマの重要性を示すことから始めましょう。ここで言う大きな背景とは、単に何を研究したいのかを説明するだけでなく、なぜそれが必要なのかを評価者が理解できるような文脈のことです。例えば、クライエントにとって意味のある作業を可能にする技術を研究するのであれば、その技術が対処する健康問題とその社会的背景について説明することから始めるとよいでしょう。
次のステップは、焦点を少し絞り、研究の具体的な領域を掘り下げることです。そのためには、その分野の知識の現状を簡潔にまとめる必要があります。どのような主要な知見があるのか?どのように研究されてきているのか?などについて整理する文章を書きましょう。こうすることで、やみくもに未知の領域に足を踏み入れるのではなく、むしろ、これまでに何が行われてきたかを明確に理解したうえで研究を進めていることを示すことができます。
また、その分野での最近の議論やリサーチギャップの問題、競合する理論について論じましょう。特に、研究計画書では、何が欠けている知識なのかを明らかにすることが極めて重要です。既存の文献や理解にはどのようなギャップがあるのでしょうか?おそらく、試みられていない方法、研究されていないテーマ、十分に検証されていない理論があることでしょう。これらを指摘することで、あなたの研究の新規性を示し、その貢献の可能性を強調することになります。これは、あなたがその分野に精通していることを示すだけでなく、あなたの研究が現代的な意義を持っていることを示すことにもなります。
文献レビューとリサーチギャップの特定を終えたら、今度は何をするつもりなのかを具体的にしましょう。研究の主な目的は何ですか?理論の証明や反証、新しいモデルの開発、新しい手法のテストなどですか?目的と並行して、研究の指針となるリサーチクエスチョンを明確に述べましょう。これらの質問は、あなたが特定したギャップに由来するもので、具体的で、提案する研究方法によって答えられるものでなければなりません。
研究計画書にありがちな落とし穴の1つは、過大な計画です。可能性のあるすべての目的を達成したいと思うのはやまやまですが、現実的であることが肝心です。主要なリサーチギャップや目的を振り返ることで、研究計画書の焦点を絞ることができます。研究計画書を書くときは、広い範囲に手を広げすぎるよりも、狭いトピックで徹底的な仕事をする方が良いことを覚えておいてください。
よく書かれた序論は、研究計画書全体のトーンを決めます。上記のように書き進めることで、研究領域を深く理解していることを示しつつ、研究テーマの重要性、新規性、目的と意議を伝えることができます。重要なのは、明確かつ簡潔で説得力のある文章にすることで、評価者をあなたの研究が必要かつ有望であるという避けられない結論に導くことです。
まず、研究デザインを特定します。研究デザインとは、研究の目的や仮説に応じて、どのような方法でデータを収集し分析するかを決めることです。研究デザインには、ランダム化比較試験などの介入研究、コホート研究や横断研究などの観察研究、テーマティック分析やナラティブ分析などの質的研究、メタ分析などの文献研究があります。例えば、新しい介入Aがクライエントの日常生活活動に与える影響を調査する研究計画書では、新しい介入Aを受けるクライエントのグループ(介入群)と、通常のプログラムを受けるグループ(対照群)の間で結果を比較する介入研究が選択されるかもしれません。
また、サンプルの選択についても書きます。これは、どのようにサンプルを決めるかを説明することです。ここでは、サンプルの包含基準や除外基準を明確にし、サンプルが代表的で、研究課題に取り組むのに適切であることを説明します。作業療法の例で続けると、研究者は 「この研究では、X市内のY病院に入院している○○をもつ対象者100人を登録し、各グループに50人ずつ無作為に割り当てる。除外基準には、重度の認知障害や言語障害がある者を含めない」のように指定するかもしれません。このような具体的な記述は、サンプルの妥当性を保証し、研究の信頼性を高めることができます。
加えて、方法では、データ収集について詳しく説明します。アンケート、インタビュー、介入計画、直接観察など、選択した方法が研究目的に沿ったものであり、再現性のために十分詳細なものでなければなりません。例えば「データ収集には、日常生活活動や生活の質を測定する量的な尺度と、介入法への参加体験や感想などを聞く質的な半構造化インタビューを組み合わせて行う。方法を組み合わせることで、研究者は現象の全体像を捉えることができる。量的な尺度は、介入開始前と介入終了後に各対象者に対して実施する。質的なインタビューは、後測の後に各グループから無作為に選んだ10人ずつの対象者に対して実施する。インタビューの内容は録音し、文字起こしする」などのように説明できるかもしれません。
データを収集したら、意味のある洞察を得るためにデータ分析する必要があります。データ分析では、具体的な手順や方法を説明します。量的データの場合は、統計的検定やモデリングが必要になるかもしれませんし、質的データの場合は、インビボやバーサスなどのコーディングやテーマティック分析などの分析アプローチが必要になるでしょう。例えば「量的な尺度の回答は、介入群と対照群の間に有意な差があるかどうかを検証するためにt検定にかける。質的データであるインタビューの結果は、介入法の効果や影響に関する共通のテーマや感情を特定するためにテーマティック分析を行う。量的データと質的データの結果を統合して、相互補完的に解釈する」などのように書くことができる場合があるかもしれません。
方法は、研究計画書のエンジンルームの役割を果たします。綿密に作成された方法は、研究プロセスが厳密で透明性が高く、信頼性が高く妥当な結果を生み出すことを保証します。研究デザインからデータ分析の計画に至るまで、各側面を詳述することで、研究者はその方法に関する能力を示し、精査に耐えうる体系的な調査を行い、この分野に価値ある洞察をもたせる可能性があることを示せす。
研究計画書に研究倫理について書くことは、倫理的な承認を得るための要件であるだけでなく、質の高い倫理的な研究を行う能力を示す方法でもあります。以下のヒントに従うことで、研究計画書に説得力のある包括的な研究倫理の項目を書くことができます。
まず、あなたの研究で起こりうる倫理的問題を特定しましょう。これには、任意参加、インフォームド・コンセント、匿名性、秘密保持、危害の可能性、結果の伝達などの問題が含まれますが、これらに限定されません。ヘルシンキ宣言、ニュルンベルク綱領など、既存の倫理規定やガイドラインを利用して、あなたの研究に関連する倫理的問題を特定することができます。
また、研究のデザインと手順において、それぞれの倫理的問題にどのように対処するかを説明してください。各問題について、あなたの選択と行動に明確な根拠を示し、あなたの研究分野に適用される倫理原則と基準を参照して、それを正当化する必要があります。また、データ収集を開始する前に、施設内審査委員会 (IRB)または同様の機関から倫理的承認を得る方法についても説明する必要があります。
そして、データ収集中または収集後に発生する可能性のあるリスクや課題を予測し、軽減する対策を示します。手順の変更、予期せぬ出来事、不利な結果など、研究の倫理的実施を損なう可能性のあるシナリオを考慮する必要があります。また、研究期間中、どのように研究の倫理的側面を監視・評価するか、どのように誠実かつ透明性のある方法で研究結果を報告・普及するかについても記述する必要があります。
研究はその性質上、未知の領域に踏み込むものですが、よく構成された研究計画書には、期待される結果に関するセクションが含まれることがよくあります。これは結果を先取りすることが目的ではなく、文献レビューと提案された方法論に基づく、情報に基づいた予測を示すものです。例えば、「○○は××である」という仮説を検証する研究において、予備試験に基づき、「初期段階の実験で有望な結果が得られていることから、○○群の××指標は、△△群と比較して20~30%高いと予想される」などのように予測を示します。
単なる予測にとどまらず、これらの潜在的な結果がなぜ重要なのかを強調することが不可欠です。前述の「○○は××である」という仮説の例で言えば、「我々の予想が当たれば、「○○は××である」という仮説は確証され、○○や××に関する理論や実践に新たな知見や貢献をもたらす可能性がある。また、○○や××に関わる多くの人々や社会にとって有益な情報やソリューションを提供できる可能性がある。」などのように表現できるかもしれません。
研究計画書ではスケジュールを示します。これは、時系列的な内訳を示し、研究者が計画的に研究を進めることを示します。例えば、2年間の研究プロジェクトを考えてみましょう。1年目は対象者募集・介入開始・データ収集、2年目は介入終了・データ収集・データ分析・報告書作成、などを行うかもしれません。スケジュール作成には、各段階にどれくらいの時間がかかるかを理解することが求められます。その点を整理して、現実的なスケジュールを作成しましょう。
人件費から機器の購入に至るまで、すべての研究活動には費用が発生します。研究費を獲得したいや研究費を使用する場合、研究計画書に経費を記載します。例えば「××テスト(×200)-各1,000円」などのような細目を作成します。
また、各費用について、その正当性を説明することで、資金調達の根拠が強くすることがあります。その場合、例えば「××テストは、○○介入や△△介入の効果を客観的に評価するために必要であり、信頼性と妥当性が高いものを選択した。テストは市販されており、各被験者に対して1回ずつ使用するため、コストが発生する」などのように書くとよいでしょう。
研究計画書では、文献リストを作成します。文献は、研究計画書の土台になります。そこで、使用した文献を正確に示すのです。これにより、評価者は研究計画書で示された情報の出所をたどることができ、記述の妥当性を確認することができます。例えば「○○は××である」と主張する研究者を考えてみましょう。適切な引用がなければ、この主張の出所は曖昧なままです。しかし、文献リストで引用した文献を示すことで、この主張は裏付けられます。
また、文献リストは、提出先が求めるスタイルにしたがって書きましょう。研究者は、研究計画書全体を通して文献の書き方のスタイルを一貫して適用することが不可欠です。指定されたスタイルが混在した文献リストは、評価者を混乱させ、細部への注意不足を懸念されることさえあります。
さらに、引用する文献が最新の関連研究を反映していることを確認することは不可欠です。必要以上に古い出典を使用することは、現在の文献との関わりの欠如を示唆するかもしれません。さらに、誤りや漏れを避けるためには、定期的なチェックが欠かせません。研究者は研究計画書の信頼性を高めるために、最新の文献を反映させましょう。
研究計画書の内容は本質的に複雑ですが、その表現方法はシンプルで明確で一貫性を担保することができます。以下のヒントを参考にすることで、研究者は研究計画書の質を高めることができるでしょう。
アカデミックな文章を書くときは、パラグラフライティングを使うべきです。パラグラフライティングとは、トピックセンテンス、サポートセンテンス、コンクルーディングセンテンスから構成される文章のまとまりを作成し、文章全体を構成する技術です。パラグラフライティングを使うと、主張が明確で、論理的な文章を書くことができます。
研究計画書はパラグラフライティングを使うことで効果的に書くことができます。トピックセンテンス、サポートセンテンス、コンクルーディングセンテンスにはそれぞれ書き方のコツがあります。それを理解することによって、パラグラフライティングを使いこなせるようになります。研究計画書を書く方は、ぜひこの技術を習得しましょう。
また、研究計画書はアウトラインを作成してから、本文を作成します。アウトライン作成には数ステップが存在します。まず、著書や論文で論じたい主要なポイントを明確にします。その要点が決まったら、次に各要点を詳しく説明するためのサブポイントや、それをサポートする情報を探し出します。このサブポイントは、通常、対応するメインポイントの下に階層的に配置されます。ここから、更に詳細な情報を追加したり、作品の流れや明瞭さを向上させるためにポイントを整理、結合、削除することにより、アウトラインを洗練させることができます。これにより、効率的に研究計画書を作成できます。
アウトライン作成はアウトライナーを使用します。アウトライナーにはWorkflowy、Dynalist、OmniOutliner、Microsoft Wordなどがあります。以下の記事でそれぞれの特徴を解説していますので、関心がある方はご参照ください。
アカデミックな文章では、明確さが重要です。研究計画書は、研究の重要性、新規性、実現可能性を明確に伝えるための文章です。曖昧さや矛盾は、誤解や却下の原因になります。例えば、「我々は作業療法に関する問題を研究したいと考えている」という文は、具体的ではありません。より明確な表現にすると「本研究の目的は、脳卒中後の患者に対する作業の可能化に焦点化した作業療法の効果を評価する」などになるでしょう。
また、アカデミックな文章は、一貫性も重要です。一貫性のある研究計画書は、論理的にアイデアを結びつけます。各セクションは自然につながり、評価者に研究計画の流れをスムーズに追わせます。例えば、方法が序論よりも先に示されていると、評価者は混乱します。だから、必ず序論は方法に先立ちます。また、各セクションを構成する文章も論理的に配置します。例えば、「さらに」、「しかし」、「~に関連して」、「その結果」などの接続詞を使うと、各文章の一貫性を維持しやすいです。適宜、接続詞を活用し、情報の論理的な流れを追いやすくしましょう。論理的な順序は理解を容易にします。さらに、使用する概念も一貫させましょう。例えば「作業」と「活動」は似た用語ですが、専門的には異なる意味をもちます。概念は、首尾一貫した使用をするべきです。
さらに、明確さと一貫性を保つために、文献は関連性のある研究だけを取り上げるべきです。あまり関係ない文献を引用すると、明確さと一貫性の確保が難しくなるからです。
専門用語は分野ごとに存在しますが、評価者が専門家でない場合、専門用語は評価者を遠ざけます。専門用語を使う場合は、必ず定義や説明を付けるべきです。「ADL」という用語を使う場合は、その定義を文献に基づいて明示する必要があります。研究計画書の評価者はある程度の専門知識を持っていることもあります。このような場合、主要な専門用語を使用することは構いませんが、特に学際的な評価者の場合は、わかりやすい表現を心がけることが賢明です。
簡潔さとは、字数のことではなく、効率よくアイデアを伝えることです。冗長な表現は、評価者の注意をそらします。「私たちが行っている研究は、…のいくつかの側面を理解する可能性があることを目的としている」という文は、「私たちの研究は、…を理解することを目的としている」などのようにより簡潔に表現できます。ただし、簡潔であることは良いことですが、重要な詳細を省くことは悪いことです。研究計画書は簡潔であっても、研究計画の重要な側面をカバーする必要があります。
校正は、明確さ、一貫性、論理性を磨く機会です。単純な見落としは、不必要な混乱を招きかねません。例えば、「作業」と「活動」は類似した概念ですが、一貫して使われていなければ読者は混乱します。
また、研究計画書の質を高めるために、できれば信頼できる研究者仲間からフィードバックを求めましょう。そのようなレビュアーは、あなたが見落としたかもしれない曖昧さ、冗長さ、またはギャップを指摘することができます。
研究計画書の書き方でよくある間違いを避けることは、適切な要素を盛り込むことと同じくらい重要です。明確性、実現可能性、過去の研究の尊重、ガイドラインの遵守を徹底することで、研究者は研究計画書が許可される可能性を大幅に高めることができます。
研究者が陥りがちな過ちのひとつは、研究計画書を曖昧に書くことです。曖昧さは、評価者に自信がなく、準備不足であると思わせ、研究計画書の信頼性を損ないます。例えば、調査対象が誰なのか、調査の内容、結果の分析方法について詳しく説明していない研究計画書は避けるべきです。とにかく曖昧さがない、明確な文章で書き上げましょう。
野心的であることは賞賛に値しますが、行き過ぎは研究計画の破綻を招きかねません。例えば「2つの国のすべての成人の作業機能障害を分析する」という計画は、時間、資源、ロジスティクスの制約から非現実的である可能性が高いです。
また、時間、資金、人員など、必要なリソースを正確に見積もることができないと、研究計画の実現が危ぶまれます。ある研究計画が1,000人の参加者との綿密な聞き取り調査を提案しているにもかかわらず、100人分の資金しか割り当てられていない場合、この食い違いはプロジェクトの実現可能性について評価者から疑念をもたれるでしょう。
研究は真空で行われるものではありません。関連する主だった文献を引用しないことは、無自覚であるか、意図的な省略であるかのどちらかです。先行研究を理解し、その上に自らのロジックを構築することは、研究者のその分野への取り組みを示すものです。また、文献を引用することは、タイヤの再発明のような事態を回避することにもなります。もちろん、紙面の関係上、全ての文献を引用することはできません。けど、研究テーマを理解するために必要な主たる文献は確実に引用するべきです。
研究計画書の提出先は、内容、形式、長さなどについて、しばしば詳細なガイドラインを設けています。これらのガイドラインを見落とすことは、単に手続き上の見落としというだけでなく、申請する機関に対する徹底した配慮や敬意の欠如を示すことにもなりかねません。したがって、ガイドラインを遵守しないことは避けるべきです。
研究計画書は研究の土台です。しっかりとした研究計画書を作成することは、研究実施の許可を得て、実際に遂行するために欠かせません。本記事を参考に、良質な研究計画書を作成してくださいね。
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