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質的研究とは、数値ではなく、言葉や映像などで表現される質的データを扱う研究のことです。例えば、インタビューで話された内容や、写真や動画に映った風景や人物、行動や感情などが、質的データにあたります。
このようなデータは、詳細で豊富な情報を含んでいますが、そのぶん、分析するのが難しいです。そこで役立つのがコーディング(coding)というテクニックです。コーディングとは、質的データの一部分に意味のある名前や記号を付けることで、データを整理しやすくする方法です。例えば、「インタビューで話された内容」をコーディングする場合、話題ごとに「家族」「仕事」「趣味」などの名前を付けることができます。このようにして、データを分類したり、関連付けたり、比較したりすることができます。
質的データは量が多くて複雑ですから、そのままでは全体像が見えにくいです。コーディングをすることで、データの中に隠れているパターンやテーマを見つけ出すことができます。また、コーディングは研究者自身の理解を深めることにもつながります。データに名前や記号を付けることは、データに対する解釈や評価を表すことでもあります。コーディングを通して、研究者は自分の視点や仮説を明確にし、概念や理論を構築することができます。
本記事では、コーディングの基本的な考え方と手順を説明します。
具体的には、コーディングはどのように行われるのでしょうか。一般的には、以下のような手順で進められます。
コーディングは反復的なプロセスです。データを分析するにつれて、新たな発見や気づきが生まれることがあります。その場合は、コーディングをやり直したり、修正したりすることが必要です。コーディングは一貫性を保ち、研究目的に沿っていることを確認しましょう。
コーディングは、すべての質的研究で必要なスキルではないですが、多くの質的研究において欠かせないスキルです。コーディングをすることで、質的データの中にある意味やメッセージを引き出すことができます。初心者の方は、コーディングに慣れるまで少し時間がかかるかもしれませんが、練習すれば自信がつくようになります。
コーディングのポイントは、データを理解し、解釈することです。適切な方法でコーディングを行えば、質的研究の深さと広さを大きく向上させることができます。ぜひ挑戦してみてください。
では、そもそもコードとは何でしょうか? 質的研究を始めるとき、まずは分析の基本単位であるコードについて学ぶ必要があります。
コードとは、データの一部分に付ける簡潔な名前や記号のことです。コードは、データの内容やテーマを表すもので、単語や短いフレーズで書かれることが多いです。例えば、「インタビューで話された内容」をコーディングする場合、「家族」「仕事」「趣味」などの名前を付けることができます。
コードには、データの明らかな特徴を示す記述的コードと、データの裏に隠れた意味を深く読み解く解釈的コードがあります。最初は記述的コードからはじめ、後で解釈的コードに変換することが多いです。また、コードは、データから直接導き出される帰納的アプローチと、既存の理論や枠組みに基づく演繹的アプローチのどちらでも作成することができます。
質的研究において、コーディングがどんな意味を持つのか考えてみると、さまざまな答えが出てきます。まず、コーディングは、質的データを整理しやすくする方法です。データが多くて複雑な場合でも、コーディングをすることで重要な部分だけに絞り込むことができます。また、コーディングは、データを分析する方法です。コーディングをすることで、データ間の関係やパターンを見つけ出すことができます。さらに、コーディングは、データを理解する方法です。コーディングをすることで、データからテーマやカテゴリーを導き出し、概念や理論を構築することができます。最後に、コーディングは、データを伝える方法です。コーディングをすることで、研究結果を明確に表現し、他者と共有することができます。
コーディングには多くの利点がありますが、簡単な作業ではありません。このプロセスでは、データを何度も丁寧に読み返す必要があります。また、自己反省的な作業でもあります。研究者は自分自身の偏見や思い込み、視点がコーディングに影響しないように注意しなければなりません。データと向き合ううちに新しい発見や気づきがあれば、コーディングをやり直したり、修正したりする柔軟性も必要です。さらに、コーディングには創造性と厳密性のバランスも必要です。研究者は、データから意味のあるパターンを見出しながら、自分の解釈やコーディングの選択に根拠や証拠を持たせなければなりません。
質的研究の分野では、様々な研究デザインやデータの種類や分析の戦略に合わせて、さまざまなコーディング技法や手法が提案されています。例えば、データの属性を整理するAttribute Coding、データの全体的な特徴を捉えるHolistic Coding、データをテーマや疑問に基づいて整理するStructural Coding、データの特徴を要約するDescriptive Coding、対象者の生の声を活かしてデータの特徴を整理するIn Vivo Coding、対象者の行動を整理するProcess Coding、対象者の視点を捉えるValues Codingなどがあります。また、これらのコーディングからパターンやテーマを生成する方法として、Focused CodingやPattern Codingなどがあります。初学者向けの手法としては、SCAT(Steps for Cording and Theorization)が提案されており、これは特に小規模なデータに適しています。これらは、データをさらに統合し、テーマや理論を導くために使われる手法です。
コーディングは芸術であり科学でもあります。技術的なスキルと直感的な感覚、そして学術的な知技が必要であり、この相互作用によって、研究者は生のデータを意味のある物語に変えることができます。
これからコーディングを始める人や、コーディングのスキルを向上させたい人は、以下のアドバイスを参考にしてください。
コーディングについて学びたい人は、以下の書籍を読みましょう。他にも良書はいろいろありますが、本記事ではコーディングを学ぶときに特に読むべきと考えている本を紹介しています。私自身も常に参考にしている必読書です。いずれも日本語訳がないのが、初心者にとってつらいところです。どこかの出版社から出版されないかなぁ。
超おすすめ本です。この本は、質的データを効果的に理解し、分析するために必要なコーディングに焦点を当てています。初心者から上級者まで、あらゆるレベルの質的研究者にとって有用で参考になる本だと思います。私は本書を読んで、質的研究の理解がかなり深まりました。
こちらも超おすすめの専門書です。質的データ分析の方法と技術について詳しく解説したもので、データを理解し、分析し、提示するための優れたソースブックです。上記の書籍とあわせて読むべき本です。コーディングを含む質的データ分析について詳細に学べます。
これも本当におすすめの良書です。この本は、質的データ分析におけるコーディングという重要なスキルを身につけるための実践的で包括的なガイドです。初心者から上級者まで、質的研究に関心のある人にとって役立つ本だと思います。
本記事では、質的研究におけるコーディングの基本について紹介しました。コーディングとは、データの一部分に名前や記号を付けることで、データを整理し、分析し、理解し、伝える方法です。コーディングは、データから直接導き出す帰納的な方法と、既存の理論や枠組みに基づく演繹的な方法のどちらでも行うことができます。コーディングには多くの利点がありますが、簡単な作業ではありません。データを何度も読み返したり、自分自身の偏見や思い込みに注意したり、コードを修正したりする必要があります。また、コーディングには創造性と厳密性のバランスも必要です。質的研究の分野では、様々なコーディング技法や手法が提案されていますが、自分の研究に合ったものを選ぶことが大切です。本記事が、皆さんの質的研究のコーディングの旅に役立てば幸いです。
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