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本記事では、インビボコーディング(in vivo coding)とは何か、質的データ分析にどのように役立つか、インビボコーディングの具体的な例などについてわかりやすく解説します。本記事を読み終えると、インビボコーディングについて理解し、自分の研究に適用するヒントが得られるでしょう。
インビボコーディングとは、質的データ分析の一種で、データそのものから取り出した言葉やフレーズをコードとして使う方法です。コードとは、データの一部分に付けるラベルで、データを記述したり、分類したり、解釈したりするのに用いられます。
インビボコーディングの主な特徴は以下の通りです。
インビボコーディングの主な方法は以下の通りです。
生成したインビボコードを使って、コード間の関係を比較検討できます。また、インビボコードからより解釈的なコードを生成することもできます。さらには、インビボコードから重要なカテゴリーを作ったり、パターンを生成したりできます。
インビボコーディングは、研究の目的、範囲、性質に応じて、さまざまな分析アプローチと組み合わせることができます。インビボコーディングと組み合わせられる分析アプローチの例は以下の通りです。
インビボコーディングの方法を例示すために、デモデータに対するインビボコーディングを例示しましょう。このデモデータは、職業性ストレスが職務遂行にどのような影響を与えるかを理解するために行ったインタビューだと仮定します。
研究者: あなたの職業は何ですか?
参加者: 私は教師です。小学校で働いています。
研究者: あなたの仕事に対するストレスはどの程度ですか?
参加者: かなり高いと思います。生徒の教育や指導はもちろんですが、保護者や同僚とのコミュニケーションも大変です。それに、学校の方針やカリキュラムにも合わせなければなりません。
研究者: あなたのストレスは、どのように仕事に影響していますか?
参加者: ストレスが高いと、教室でイライラしたり、やる気がなくなったりします。生徒に対しても、優しく接することができないときがあります。また、自分の仕事に自信が持てないときもありますね。やりがいを感じられなくなったりもします。
研究者: あなたは、どのようにストレスを解消していますか?
参加者: ストレスを解消する方法は色々ありますが、私は趣味や運動をすることが多いです。音楽を聴いたり、本を読んだり、映画を見たりします。また、ジョギングやヨガなどの運動もします。これらのことで、気分転換やリラックスができます。
「職業性ストレスが職務遂行にどのような影響を与えるかを理解する」という目的に照らして、デモデータの中にある重要な表現としては、【教室でイライラ】、【やる気がなくなった】、【優しく接することができない】、【自信が持てなくない】、【やりがいを感じられなくなったり】が該当するかもしれません。仮にそのように考えたならば、それをコード化します。
以上のように、インビボコーディングでは、データの中にある重要な表現やフレーズを使ってコードを生成します。このコードは、データの分析や解釈に役立ちます。
インビボコーディングに関するよくある質問とその回答を以下に示します。
Q:いつインビボコーディングを使うべきですか?
A:データの元の言語と意味を保持したいとき、参加者の視点や声を際立たせたいとき、データの意味、文脈、ニュアンスを探求したいときにインビボコーディングを使います。
Q:どのくらい数のインビボコードを生成するべきですか?
A:インビボコードの数には決まったルールはありません。データの量、種類、質や、分析の目的や範囲によって異なります。しかし、データに関連し、意味があり、代表的なインビボコードを使うことを目指すべきです。また、インビボコードを使いすぎたり、使いすぎなかったりすると、分析の深さ、広さ、妥当性が損なわれる可能性があるので注意しましょう。インビボコードを定期的に見直し、改善し、データの本質、重要性、感情を捉えているかどうかを確認するとよいです。
Q:インビボコーディングと他の種類のコーディングをどのように組み合わせることができますか?
A:インビボコーディングと他の種類のコーディングを組み合わせることで、分析を補完したり、強化したりすることができます。例えば、インビボコーディングを使って参加者の言葉やフレーズを特定し、その後、解釈的なコーディング(例えば、エモーショナルコーディングやプロセスコーディング)を使ってコードの背後にある意味や含意をコード化することができます。また、インビボコーディングで生成したコードにフォーカスコーディングを行い、重要なカテゴリーを生成することもできます。
インビボコーディングとは、データそのものから取り出した言葉やフレーズをコードとして使う質的データ分析の一種です。データの元の言語と意味を保持し、参加者の視点や声を際立たせ、データの意味、文脈、ニュアンスを探求するのに役立ちます。インビボコーディングは、グラウンデッドセオリー、テーマティック分析、内容分析など、さまざまな分析手法と組み合わせることができます。また、記述的、解釈的、分析的なコーディングなど、他の種類のコーディングとも組み合わせることができます。
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