【入門】リサーチギャップの見つけ方【研究計画書】

　研究を始める際、最も難しいのは「どこから始めればいいのか？」という疑問を解決することです。特に、リサーチギャップを見つけることは、多くの研究者や大学院生にとって大きな課題となっています。私も過去には、この問題に何度も直面しました。

　リサーチギャップとは、簡単に言うと、ある分野の研究においてまだ解明されていない、または十分に探求されていない部分を指します。このギャップを見つけることは、研究の重要性や新規性を示す上で非常に重要です。

しかし、実際にリサーチギャップを見つけるのは簡単ではありません。情報が溢れる現代において、どの情報が本当に価値があるのか、どの部分がまだ探求の余地があるのかを見極めるのは難しいのです。

　本記事では、リサーチギャップを効果的に見つけるための具体的な方法やヒントを共有していきます。私の経験や知識をもとに、初心者から上級者まで、すべての研究者がリサーチギャップを見つける際の手助けとなる情報を提供していきます。

　なお、研究計画書の書き方については、以下の記事で詳細に解説しています。リサーチギャップの見つけ方のコツがわかれば、ぜひお読みください。

　研究を始める前に、まずは自分が研究したいテーマについて、既存の知識や情報を調べる必要があります。しかし、どんな分野でも、すべてのことがすでにわかっているわけではありません。そこで、リサーチギャップという概念が重要になります。

　リサーチギャップとは、特定の研究テーマに関する未解決領域のことです。つまり、これまでの研究では明らかになっていない問題や疑問、不足や矛盾などです。リサーチギャップは、研究の目的や仮説を立てるための基礎となります。自分が解決しようとするリサーチギャップが明確であれば、研究の方向性や方法論も明確になります。また、リサーチギャップを見つけることで、研究の重要性や新規性を示すことができます。学術的な価値だけでなく、社会的な意義や貢献も考慮することが望ましいです。このように、リサーチギャップは、研究活動において欠かせない要素です。

　リサーチギャップを見つけるためには、さまざまな方法がありますが、その中でも最も効果的な方法の一つが、レビュー論文を精査することです。

　レビュー論文とは、特定の分野やトピックに関する研究の概要や結論をまとめた論文です。レビュー論文は、その分野やトピックの歴史的背景や理論的枠組み、主要な研究者や流派、重要な発見や成果、現在の傾向や課題、今後の展望などを網羅的に紹介しています。レビュー論文には、その分野やトピックの現状や課題、今後の展望などが記されていることが多いです。

　これらの情報は、自分が研究したいテーマに関する知識や理解を深めるだけでなく、既存の研究における未解決領域や可能性を探るヒントにもなります。レビュー論文を読むことで、自分の興味や関心に合ったリサーチギャップを発見することができます。

　しかし、レビュー論文は必ずしも最新の情報を反映しているとは限りません。そのため、レビュー論文から得られたリサーチギャップは、他の方法で補足・検証する必要があります。

　レビュー論文からリサーチギャップを見つけたら、次に行うべきことは、関連する研究論文を収集・検討することです。関連する研究論文とは、自分が研究したいテーマや問題に近い内容や手法を扱っている論文です。これらの論文は、レビュー論文よりも詳細で具体的な情報を提供しています。

　関連する研究論文を収集するには、キーワード検索や参考文献リストの追跡などが有効です。キーワード検索では、自分のテーマや問題に関連する単語やフレーズを用いて、データベースや検索エンジンから論文を探します。参考文献リストの追跡では、既に読んだレビュー論文や関連する研究論文の引用されている文献や引用している文献を辿って、新たな論文を発見します。

　関連する研究論文を検討することで、その分野やトピックの背景や理論、方法論や結果、限界や提言などを理解することができます。これらの情報は、自分のテーマや問題に対する知識や洞察を深めるだけでなく、レビュー論文から得られたリサーチギャップを補足・検証するのに役立ちます。関連する研究論文を比較・分析することで、一致や相違、不足や矛盾などを発見することができます。これらの発見は、自分のテーマや問題に対して新しい観点やアプローチを提供してくれます。

　レビュー論文や関連する研究論文からリサーチギャップを見つけたら、さらに深めるためには、関連する研究論文の限界や今後の課題に着目することが有効です。関連する研究論文の多くは、その研究の限界や不十分さ、今後の方向性や提案などを記述しています。これらの情報は、自分が見つけたリサーチギャップを検証・修正・発展させるのに役立ちます。関連する研究論文の限界や今後の課題に着目することで、その分野やトピックにおける未解決領域や可能性を探ることができます。

　例えば、ある研究者が自分の研究結果に基づいて、別の手法や変数、対象群などを用いて同じ問題を検証してほしいと提言している場合、それはリサーチギャップの一つとなります。また、ある研究者が自分の研究方法や結果に対して、その妥当性や信頼性、一般化可能性などを問題視している場合、それはリサーチギャップの一つとなります。このように、関連する研究論文の今後の課題は、自分が見つけたリサーチギャップを補完・強化・発展させるための重要な情報源です。

　リサーチギャップを見つけたら、次に行うべきことは、それに基づいて研究の目的を決めることです。しかし、リサーチギャップは一つではなく、複数存在する可能性があります。また、同じリサーチギャップからでも、異なる目的を設定することができます。そこで、リサーチギャップとそれに基づく目的の候補を絞り込むことが重要になります。

　リサーチギャップと目的の候補は、自分の興味や関心、研究の背景や理論、研究の方法や手段、研究の対象や範囲などに応じて絞り込むことができます。例えば、自分が作業療法士であれば、作業療法に関連するリサーチギャップや目的を選ぶことが望ましいです。また、自分が定量的な手法に慣れていれば、定量的な手法で検証できるリサーチギャップや目的を選ぶことが望ましいです。さらに、自分が高齢者や障害者など特定の対象群に興味があれば、その対象群に関連するリサーチギャップや目的を選ぶことが望ましいです。

　リサーチギャップと目的の候補は、明確で具体的であることが望ましいです。あいまいや抽象的なリサーチギャップや目的は、研究の方向性や方法論を決めるのに困難を生じさせます。例えば、「作業療法の効果を調べる」という目的は、あまりにも広くて曖昧です。それに対して、「作業療法が高齢者の認知機能に及ぼす効果を調べる」という目的は、より明確で具体的です。

　リサーチギャップと目的の候補を絞り込んだら、包括的な基準に基づいて系統的に評価して最適なものを選びます。リサーチギャップと目的の候補を評価するためには、以下のような基準を用いることができます。

　本記事では、リサーチギャップを見つけるための方法と例を紹介しました。リサーチギャップとは、特定の研究テーマに関する未解決領域のことで、研究の目的や仮説を立てるための基礎となります。リサーチギャップを見つけるためには、レビュー論文や関連する研究論文を収集・検討し、その中から一致や相違、不足や矛盾などを発見します。また、関連する研究論文の今後の課題に着目することで、その分野やトピックにおける未解決領域や可能性を探ります。リサーチギャップとそれに基づく目的の候補を絞り込んだら、重要性、新規性、可能性、有用性などの基準に基づいて系統的に評価し、最適なものを選びます。この記事があなたの研究活動に役立てば幸いです。

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