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研究計画を立てるとき、「そもそも自分は何を明らかにしようとしているのか?」が曖昧だと、その後の文献レビューや方法設計がスムーズに進みません。研究成果の質を左右する重要な要素が、リサーチクエスチョン(研究疑問)の設定です。今回は、リサーチクエスチョンの意義と必要性から、先行研究との関連性、問いの絞り方・修正方法、そして研究計画への落とし込みまで、具体的なステップを解説します。
リサーチクエスチョンは、研究全体の方向性を定める“羅針盤”的な存在です。問いが明確であればあるほど、どんな先行研究を参照するべきか、どんなデータを集める必要があるかが自然と見えてきます。逆に、「研究テーマはあるけれど、何を解明したいのかが曖昧」という状態では、論文を書く段階になっても焦点が定まらず、読者にとっても分かりづらい研究になってしまいます。
研究では、既存の知見をどのように拡張・批判・検証できるのかが評価されます。リサーチクエスチョンを明確に立てることで、「自分の研究がどこに新規性をもたらすのか」「なぜ調べる必要があるのか」を示しやすくなります。明確な問いは査読の段階でも、研究の妥当性や意義を説明する説得力の源になるでしょう。
リサーチクエスチョンを設定するうえで欠かせないのが、先行研究との比較・検討です。まずは関連するキーワードやテーマをもとに文献検索を行い、分野の潮流や主要な理論、データを把握します。このとき、「自分の問いに近い研究は何を明らかにしているのか」「論点や手法に不足している部分はないか」を意識的に探ると、研究の方向性を具体化しやすくなります。
先行研究に目を通したら、「何がすでに解決されていて」「どこがまだ曖昧・不足しているのか」を整理しましょう。たとえば、同じテーマでも対象や地域、時期が限定されている場合、さらなる補完が必要かもしれません。あるいは、別の視点や方法論を取り入れることで新たな知見が得られる可能性もあります。こうした“リサーチギャップ”を発見するプロセスが、リサーチクエスチョンの発想に直結するのです。
研究は理想だけで進められるものではなく、資金や時間、研究のスキルセットなど、さまざまな制約が存在します。たとえ壮大な研究テーマを思いついても、実際に取り組める範囲を見極めることが大切です。研究全体の期間や利用可能なデータソースを踏まえ、「本当に答えを導ける問い」へと絞り込むプロセスを意識しましょう。
もし一つの問いが大きすぎると感じた場合は、サブクエスチョンに分割してみるのも有効です。たとえば、「〇〇の要因と影響を総合的に解明する」という広い問いであれば、要因に関する問い、影響に関する問い、といった形で段階的に設定していきます。段階を踏んで答えを得ることで、最終的には大きな問い全体もカバーできるようになるでしょう。
研究は進めていくうちに、新たな発見や問題が出てくることが普通です。そのため、当初立てたリサーチクエスチョンを一切修正せずに最後まで突き進むケースはむしろ少数派といえます。たとえば、予備調査の結果、方法論が思うように機能しなかったり、データが不足していたりする場合は、問いの射程範囲を調整する必要があるでしょう。
問いを修正するときは、自分一人で判断するのではなく、指導教員や同僚研究者からのフィードバックを積極的に取り入れるのがおすすめです。客観的な目線で検討してもらうことで、問いの妥当性や論文全体の構成との整合性を確認できます。また、学会発表などの場で議論してみると、思わぬ観点からの意見が得られる場合もあります。
リサーチクエスチョンが固まったら、次は研究計画への具体的な落とし込みに移ります。たとえば、「この問いに答えるためには、どのようなデータ収集手法が適切か」「統計分析が必要か、質的アプローチが良いのか」といった検討を進めていきます。問いと方法がしっかり対応していることで、研究の説得力が増し、審査や査読にも通りやすくなります。
研究計画に問いを落とし込む際には、最終的なゴールを具体的に描くだけでなく、そこに至るまでのステップをマイルストーンとして設定することが重要です。リサーチクエスチョンを答えるのに必要なデータ収集の段階、分析に要する期間、結果のまとめと考察に要する期間などを時系列で並べ、スケジュール管理を行いましょう。計画を可視化することで、研究の進捗を客観的に把握できるようになります。
リサーチクエスチョンが明確になっていないと、研究全体の方向性が定まらず、論文の説得力や完成度にも影響が出やすくなります。しかし、問いの立て方さえつかめれば、先行研究の調査や研究設計の準備、そして最終的な論文執筆までがスムーズに進むようになります。
本記事で紹介した「先行研究との関連性の把握」「実現可能性を踏まえた問いの絞り込み」「問いの修正と再設定のプロセス」「研究計画への具体的な落とし込み」のステップをぜひ実践してみてください。リサーチクエスチョンがしっかり定まれば、研究をスタートする段階から強い自信を持って取り組めるはずです。
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